役割等級制度の現状と本質 [4/11]

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“プロセス成果”を評価する

BG: 今の役割等級制度に関するお話の中で,「プロセス成果を評価する」とありましたが,“プロセス成果”というものをもう少し具体的に説明していただけますか。

西村: 仕事のプロセスというのは,大きな「キープロセス」と「サブプロセス」とがあります。また,プロセスというのは,必ずインプットとアウトプットがあります。これは大きなプロセスもあれば,中にもっと小さなプロセスに分かれている場合もある。そのプロセスっていうのは,あくまで変換機能なんですね。インプットを取り入れて,アウトプット,成果物を出すための機能(働き)なんですね。

 例えば,今ビジネスガイド編集部がインタビューをして,これが雑誌の原稿になりますよね。こういった仕事の連鎖でもって,会社というのは仕組みが作られています。営業プロセス,購買プロセスなどがあり,営業のプロセスの中でも,もっと小さくすると,調査をするプロセスだとか,受注をするプロセスだとか,あるいは営業マンが発注をかけるプロセスだとかあります。当然その前に見積もりをかけるプロセスもあるはずです。見積もりプロセスの中身をもっと見ていくと,他にも諸々の作業をしていて,それらの最終的なアウトプットは見積書になって出てくるということです。その見積書を作成するまでの見積もりプロセスの中において,チェックするべき項目がたくさんあるわけです。それを上司がきちんとチェックしていれば,見積書は受注確度の高いものが出てくるはずなんです。それらがプロセスの中における機能であり,それを果たすべき職務行動をチェックしておけばきちんとしたアウトプットができますという流れで,お客様志向でビジネスプロセスを整理することと,各プロセスの中のサブプロセスを整理することとが,そのプロセスの中の業務ですね。このプロセスさえ構築して,仕組みの中で戦略を再び作り直すという流れができてしまえば,それこそ役割等級制度の元となるものなのです。現在,わが国においてもその考え方が主流になってきていることは間違いありません。それが,お客様を向いていれば成功するということです。

私の場合,役割等級制度である以上はプロセスを重視しています。このため評価制度には「プロセス評価基準」と「アウトプット評価基準」というものを作っています。「アウトプット評価基準」というのは,見積書を何枚作ったという結果として出てくるのですが,「プロセス評価基準」というのは,見積書を起こすまでにどんな仕事(調査,計画や行動)をどの程度やったか,チェックはしたか,ということです。したがって,プロセスが固まらなければ評価基準そのものも出てこないのです。にもかかわらず,そのプロセスを整理せずにこれとは別に評価基準を出してきているためやっぱり能力主体にならざるを得ないことになる,というのが,多くの間違った役割等級制度なのです。役割等級制度を導入するのに,仕事の洗い出し,あるいはビジネスプロセスの改革をせずに評価をするということはあり得ない話です。

 プロセスアプローチで,ビジネスプロセスを変革していく中で評価指標まである程度できてしまうのです。そこの評価が良くなるように行動レベルを書き起こしていくこと,それがコンピテンシーの抽出なのです。ですから,私の場合はビジネスプロセス改革をしたすから,喜ばれるのは当然のことなのです。

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講師紹介

孫田 良平 氏

NPO法人 企業年金・賃金研究センター 名誉顧問

講師紹介

(株)メディン
 代表経営コンサルタント
  西村 聡 氏 

NPO法人 企業年金・賃金研究センター 上席講師

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